災害発生後に地理院地図を活用する
災害発生後、速やかに被災地の空中写真や被災状況を表した地図を公開します。
ここでは、過去の災害を例にしながら、災害発生直後に地理院地図から公開する地図・写真や、その活用方法を紹介します。
災害時の写真と地図を見る
地震(平成28年熊本地震)
平成28年4月に発生した「平成28年熊本地震」は、4月14日に前震(M6.5)、4月16日に本震(M7.3)が発生し、西原村と益城町で震度7を観測しました。強い揺れによって、土砂崩れや地表の亀裂・液状化現象などの被害が広い範囲で発生しました。
被害直後の空から撮影した写真や甚大な被害を受けた益城町中心部付近の被災前後の比較、被災後に計測した陰影段彩図、低空から撮影したドローンなど様々な視点から被災状況を確認できます。
地表の亀裂分布
ドローン撮影による断層
土砂崩れ
★知って得する豆知識★ (国土地理院・地理教育の道具箱へリンク)
津波(平成23年東北地方太平洋沖地震)
平成23年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」は海域が震源(M9.0)であったため、巨大な津波が東北および関東地方の太平洋沿岸部に到達し、壊滅的な被害が発生しました。
被害直後から沿岸部を中心に撮影した写真や津波による浸水範囲概況図を見ることができます。
津浪による被害
斜めから撮影
地震による地盤沈下
災害復興計画基図
★知って得する豆知識★ (国土地理院・地理教育の道具箱へリンク)
土砂災害(平成26年8月豪雨>広島市内)
平成26年7月末から8月にかけて、台風および前線の影響により日本の広範囲で豪雨が発生しました。特に、広島市では数時間にわたる大量の降水によって、同時多発的に大規模な土砂災害(土石流とがけ崩れ)が発生し、甚大な被害をもたらしました。
過去の写真と比べると、土砂災害があった範囲はもともと田畑だった土地を宅地化した場所であったことが確認できます。
土石の流出範囲
土石流による被害
土石流被災後
宅地開発前
★知って得する豆知識★ (国土地理院・地理教育の道具箱へリンク)
洪水(平成27年9月関東・東北豪雨>茨城県常総・坂東地区)
平成27年9月9日~11日にかけて関東北部および東北地方南部で豪雨が発生し、大規模な被害をもたらしました。特に、茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊し、広範囲にわたる住宅や工場などが水没しました。
地理院地図では、推定浸水範囲や空から撮影した写真を見ることができます。
堤防決壊による洪水
浸水状況
推定浸水範囲
※浸水範囲内の建物は床上または床下浸水による被害が生じていると考えられる
火山災害(御嶽山)
平成26年9月27日に、長野・岐阜の県境に位置する御嶽山(3067m)が噴火し、多くの登山者ら犠牲になった戦後最悪の火山災害です。今回の噴火は水蒸気爆発で、噴火と同時に火砕流も発生しました。火口周辺は噴煙によって見えにくい状態でしたが、様々な角度から撮影した写真を処理することで、噴煙の影響を取り除いた状況を確認できます。
御嶽山
火山土地条件図
御嶽山の噴火状況
斜めから撮影
★知って得する豆知識★ (国土地理院・地理教育の道具箱へリンク)
被災前後の写真を比較する
地理院地図には、左右の2画面で異なる地図や写真を表示する機能があります。それぞれの画面に、災害の発生前と後に撮影された写真を表示することで、被災前後の様子を比較することができます。
例として、東日本大震災の被災前後の写真を比べてみましょう。
ツール➔並べて比較の機能を使います。
※津波による建物等の流失や田畑の浸水状況を確認することができます。
罹災証明書の発行に活用する
写真から建物が流出していることが明らかな場合などは、被災前後の写真を、建物の「全壊」の判定に使うことができます。
これにより、罹災証明書の発行業務を迅速化することができます。
撮影した写真を地図上に表示する
現地で撮影した写真にジオタグ(位置情報)がついていれば、その写真を地理院地図にドラッグ&ドロップするだけで、撮影位置が地図上にマッピングされます。
撮影場所を思い出せない時や写真の整理をするのに役立ちます。
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