■ 干渉SAR時系列解析の観測情報の見方
SAR衛星
データを取得した衛星名です。
現在は,だいち2号(陸域観測技術衛星2号,ALOS-2)のみを使用しています。
解析期間,観測時間
解析期間は,解析に用いたデータの期間で,最初と最後の観測日を示しています。
観測時間は,解析に用いたデータのおおよそのデータ取得時刻です。
衛星進行方向
衛星が軌道上を進行する方向で,北行軌道(Ascending)と南行軌道(Decending)があります。
北行(A):SAR衛星が南から北に進行する軌道
南行(D):SAR衛星が北から南に進行する軌道
電波照射方向,電波照射方位
電波照射方向は,衛星進行方向に対し電波を照射する方向で,右向き(Right)か左向き(Left)のいずれかになります。
電波照射方位は,電波を照射する方向を方位で表したもので,東向き(East)か西向き(West)のいずれかになります。どちら向きになるかは,衛星進行方向と電波照射方向の組み合わせで決まります。
干渉SAR時系列解析では,電波照射方向が右向きの観測のみ解析を行っていますので,北行軌道では東向き,南行軌道では西向きとなります。
観測モード
観測の分解能や観測幅等の観測の仕様の違いを表します。
だいち2号ではいくつか観測モードがありますが,干渉SAR時系列解析ではUモード(高分解能3m)の観測を用いています。
入射角
画像内に含まれる地表のある地点における天頂方向から衛星方向までの角度です。
入射角は,地表の位置によって異なるので,画像中心付近の角度を示しています。
データ数、ペア数
データ数は,干渉SAR時系列解析に用いた観測数です。
ペア数は,干渉SAR時系列解析に用いたSAR干渉画像数です。
データ数が同じだったとしても,どの観測同士の組み合わせで干渉解析を行うかにより,干渉画像数は変わります。
ルック数
干渉SAR時系列解析に用いるSAR干渉画像は,観測された元画像の画素のままではなく,いくつかの画素を平均したものです。ルック数は,元の画像の何画素分を平均しているかを示しています(8ルックの場合,8x8=64画素を平均していることを示します)。
垂直基線長の上限
基線長は,SAR干渉解析を行う際の1回目観測と2回目観測のSAR衛星の軌道間距離(B)です。基線長(B)の衛星ー地表視線方向に対する垂直成分(Bperp)が垂直基線長です。
垂直基線長が長いほど干渉性が悪くなる※ため,垂直基線長が上限を超えない観測同士のSAR干渉画像のみ,干渉SAR時系列解析に用いています。
観測間隔の上限
1回目観測と2回目観測の間隔(観測間隔)が長いほど干渉性が悪くなる※ため,観測間隔が上限を超えない観測同士のSAR干渉画像のみ,干渉SAR時系列解析に用いています。
対流圏遅延補正,電離層遅延補正
SAR干渉画像には,電波が対流圏や電離層を通るときに生じる電波の速度変化による誤差が含まれます。これらの誤差を低減するための補正処理を実施しているかしていないかを示しています。
冬季データ
冬季の観測データを使用しているか使用していないかを示しています。積雪がある地域では干渉性が悪くなる※ため冬季の観測データは使用しないことがあります。
※ 干渉性が悪くなると,1回目と2回目の観測の位相差を求めることが困難になります。一般に,垂直基線長や観測間隔が長い場合,積雪がある場合などには,干渉性が悪くなります。